木造薬師如来坐像
欅一木造・像高139センチ
平安時代後期
国指定重要文化財
薬師如来坐像はケヤキ材の一木造です。安定感ある大作で、ボリューム感あふれた体躯をもちます。微笑をたたえ、浅く穏やかに流れる衣文など藤原時代の特徴をもちますが、洗練されてはいない地方作の素朴さが見受けられます。
日本に伝わった仏教は次第に日本人の生活に浸透し、それとともに教義や仏像も和様化し、彫刻的には11世紀に定朝が出て和様彫刻を完成させました。この定朝様式は広く人々に迎えられ、今日全国に多くの作例が残ります。
この像も、定朝様の洗練さと前身の像がもっていたであろう地方的な力強さとがうまく調和した、11世紀後半の名作です。
木造薬師如来両脇侍像
サクラ材一木造
平安時代後期
国指定重要文化財
日光・月光両菩薩像はサクラ材の一木造で、中尊と比較すると細部の意匠などは異なっています。注意して見ると顔の表情や髻(もとどり)のかたち、天冠台、天衣の流れなどに多少の違いが見られることから、違う仏師の手になるものだと推測されます。しかし、柔和でやさしいいモデリングや浅い衣の表現などは、いかにも藤原朝のものです。