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当山縁起

威徳山 月光院 影向寺 (いとくざん げっこういん ようごうじ)

最古の縁起によれば、天平11年(739)光明皇后が眼病を患った折、聖武天皇の御夢の中に一人の僧が現れ、「武蔵の国橘樹郡橘郷に霊地があって、その地に不思議な霊石があります。その石の上にはいつも聖浄比なき水が湛えてあります。此処に伽藍を建立し、薬師如来を安置し奉るならば、皇后の御悩み立ちどころに御平癒となるでありましょう」と申し上げました。天皇は早速、高僧・行基を遣わし祈願させたところ、霊験あらたかで皇后の御病気も快癒されたそうです。天皇の勅命によりこの地に伽藍がそびえたのは、その翌年のことであると伝えられています。

国分寺建立に前後する奈良時代に開かれた歴史の古さはもちろんのこと、当山には国の重要文化財である本尊の薬師如来像をはじめ、二十三躰の仏像彫刻や古文書類、民族資料が数多く所蔵され、川崎市の歴史の原点を明らかにしていく上で欠かすことのできない貴重な文化財の宝庫となっています。