橘樹官衙遺跡群、国史跡指定へ。
2015年1月18日
橘樹官衙遺跡群、3月にも国史跡指定、川崎市内初
「影向寺遺跡」とその東側に隣接する「橘樹郡衙跡」で構成される橘樹官衙遺跡群は古代武蔵国橘樹郡の政治や文化の中心として重要な役割を果たしたとされる役所跡である。川崎の古代史を知る上で重要な遺跡とされるこの遺跡群について国の文化審議会は、新たな国史跡に指定するよう文部科学相に答申し、3月ごろの官報告示により、川崎市初の国史跡として指定される予定となった。橘樹郡衙は1996年に行われた千年伊勢山台北遺跡の発掘調査で、東西に整然と並ぶ7棟の掘立柱建物跡が発見された。これらは稲などを保管するための正倉とみられ、その後の調査で7世紀後半から8世紀に造営、平安時代の9世紀中ごろに姿を消したことが明らかになった。現在も続く当寺「影向寺」は7世紀から8世紀前半の創建と推定され、奈良時代の8世紀中ごろには金堂や伽藍が整備され、発掘された瓦の文様などからも、南関東の中心的な寺院だったとみられている。橘樹官衙遺跡群のように郡寺とともに発見されるケースは珍しく、価値が高いという。この地域は農業が盛んで大規模な宅地造成計画もなかったため破壊されずに残ったとみられる。川崎市でも今後貴重な歴史文化遺産として整備を行い保存・活用方法の検討を進めている。